Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

サッカーの見方が180度変わるデータ進化論

映画や小説となった「マネーボール」やプロ野球の野村監督がかかげたID野球に代表されるように、プロスポーツとデータ解析は今や切り離せないことが常識として浸透しただろう。一方で、プロスポーツの中でもサッカーは、データ化されにくく、中々データを元に語られることが一般的ではなく、印象で語られることが多いのではなかろうか。本書は、サッカー専門誌にデータを元にした記事の連載をもつ著者がそのノウハウを紹介した内容となっている。私が興味深いと感じたトピックを取り上げる。

パス本数

パス本数が多いポジションとなれば、センターに位置するボランチやセンターバックかなと思ってしまう。しかし、13−14シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの予選プレーオフ2試合を戦った20チームの個人別パス本数を集計したところ、以外なことにベスト30で最も多かったポジションはサイドバックで11人だった。

ちなみに3位にはシャルケの内田篤人が171本でランクイン。ほぼ1分に1本のパスを放っていたことになる。そして内田のパス本数はもちろんチームメイトの中で1位だ。まぎれもなくシャルケの攻撃の起点は内田である。また、ここ数年の守備のトレンドは、相手のDFラインにプレッシャーかけるのではなく、低い位置で守備を固めることを優先しており、そのことも影響している。

ボール支配率

最強のクラブチームといえばスペインの「バルセロナ」を上げる人も多いだろう。少しサッカーに詳しい人ならば、バルセロナがボール支配率にこだわる戦術を取っていることはご存知のことと思う。ボール支配率は、ボールをキープしている時間の割合を相手チームとの相対比較で数値にしたものだ。例えばバルセロナは70%程度の支配率で圧倒的に試合をコントロールしていることが多い。

しかし、12−13シーズンのUEFAチャンピオンリーグのグループリーグに出場した32チームでボール支配率とグループ突破できるかを見てみると、必ずしもボール支配率が突破の要因とは言えないようだ。4勝2分けでグループリーグを突破したドルトムントのボール支配率は平均42%で、全試合で相手チームを下回っている。ドルトムントは堅い守備からボールを奪い、速攻するカウンター型の戦術なので、ボール支配率は低くて当たり前ということになる。一方、カウンター型のチームは、序盤で失点し、相手が守りに入ると、カウンター攻撃の成功率が大きく下がるようで、リスクもある戦術だ。

スローイン

スローインは一見地味なプレーだが、しっかりマイボールにできれば試合を優位に運ぶことができる重要なプレーだ。スローインを行うエリアを「自陣後方」「中盤」「敵陣前方」に3分割し、スローインの成功回数とマイボールにできた回数を集計すると、直観的には「自陣後方」では成功率が高く、「敵陣前方」では成功率が低いように感じる。自陣では味方の数が多く、敵陣では味方の数が少ないからだ。

しかし、08ー09シーズンのUEFAチャンピオンリーグ準決勝アーセナルvsマンチェスター・ユナイテッドの試合から集計した結果は直感とは逆になる。両チームとも自陣後方でのスローイン成功率は33%、敵陣前方では80%以上だった。敵陣前方で高い成功率となる理由は、チーム内で最もキープ力のあるFWをスローインの受け手として使えることだ。逆に自陣後方で成功率が低い理由は、敵のスローインの場合、自陣に近く中央を固める必要があり、敵プレーヤーにプレッッシャーをかけにくいことと、味方のスローインの場合でも、リスクがある自陣の方向にボールを入れにくく、成功率の低い前方へのスローインを選択することになるためだ。

おわりに

本書では上記に紹介した以外に18のデータ(例えば、ゴール、走行距離、ファウルなど)の解釈の仕方や試合の分析方法について、実際の試合をひきあいに解説されており、短時間で観戦力が高まった。一般的に公開されていない著者独自に集計したデータも一部含まれるが、そういう視点での見方があるのかという発見になった。ワールドカップのサッカー観戦が楽しみだ。

以上

サッカーの見方が180度変わる データ進化論
河治 良幸 著
2013/11/25 初版発行

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