Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

光秀の定理

本能寺の変。戦国時代に日本の統一を現実味を帯びてきたとき、織田信長が家臣の明智光秀の謀反により、落命した事件である。信長配下の出世頭として信長を支えた光秀がなぜ謀反を起こしたかは、その直後、光秀が羽柴秀吉に討たれたことで真実は明らかになっておらず、日本史上の謎のひとつとして、様々な憶測がある。

本書は、光秀がなぜ謀反を起こさなければならかったかについて、著者の解釈を示すことが主題の歴史小説である。光秀の生い立ちや幕臣として足利将軍家の復権に細川藤孝と奔走した不遇の時代を中心に描写しつつ、光秀の思考、性格、目指すところを明らかにしている。そして本能寺の変の後、光秀の2人の友人の邂逅という形で、謀反を起こした理由について解釈を述べている。

光秀の2人の友人とは、現代でいう数学の確率論を賭け事に応用し日々の糧を得る僧「愚息」と誰にも仕えず剣法道場を起こす「新九郎」である。この無頼の2人の生き様は、権力の中枢にその身を置くことになる光秀と対比する形で描写されており、結果、双方の人物が際立つようだ。

ところで、タイトルの「定理」の部分には「レンマ」と読み仮名がふってある。レンマとはサンスクリット語で定理を意味する。サンスクリット語は、古代インドの標準的文章語であり、その文字はいわゆる梵字であり、仏教徒が多い日本人には馴染みがある。著者は何故わざわざサンスクリット語の読み仮名をふったのだろうか?光秀の定理のみならず、人生の定理として無頼の僧「愚息」を通して何度も語られるこの世の儚さが、本書のもうひとつの主題ではなかろうか。

以上

光秀の定理
垣根 涼介 著
2013/8/30 発行

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