Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

エアコンのいらない家

「えっ、そんなことできるの?」というタイトルで、部屋にエアコンがあるのがあたりまえの世代にとっては、はっとさせられる。著者は主に戸建住宅、マンションの換気空調設備の設計を専門に手がける会社の設立者で、大手ハウスメーカーとの共同開発も多数手がけているようだ。本書の前半では、快適な空間とその原理を紹介し、後半では、実際の設計事例を引用しつつ、具体的な設計ノウハウについてイラストを交えて紹介されている。その一部を紹介する。

「快適」を決める4人+2人

快適さを左右する要素は次の6つ(温度、湿度、気流、放射、人間の活動量、着衣量)である。これらのうち、放射は電磁波によって伝わる熱のことで、直射日光、焚き火、電気ストーブ、オイルヒーターの暖かさが該当する。室温が適温でも「放射温度」が高ければ、暑く感じる。

熱のコントロールのために壁や屋根に断熱材を入れるのは大切だが、建物の内外を行き来する熱のうち大半は、開口部(つまり窓)を経由する。夏場に窓から入る熱の割合は単層ガラスの場合で70%、逆に冬場は単層ガラスの場合、55%にもなる。

よって、夏場の直射日光をどのように遮るかがひとつの設計ポイントとなる。建物南側は日光は比較的高い角度から降り注ぐので、庇が有効である。一方、東西の窓は、低い角度から日光が降り注ぐため、軒や庇だけでは不十分である。コストが安く、効果が高いのがスダレやヨシズで、高性能のガラスに勝る効果がある。

すべては南をあけることから

建物の配置は、敷地南側から取り込みたい「冬の日差し」を第一に決める。これさえ確保できれば、夏の風も自動で入る。一戸建てで最も日差しを取り込みにくい冬至を基準に考えると、余白は11mあれば十分といえる。6m弱あけられば最低でも2階まで日差しが入る。

縦長の建物を南北方向に配置すると、夏は東西の強烈な日差しの餌食になる。旗竿地でも、竿の部分が南側につながっているならばOK。都市部で建て売りを買うなら必ず道路が南側についている物件を選ぶ。住宅密集地の場合、建物の上から光を取り込むようにする。

おわりに

建築関係の専門家にとっては常識の内容ではあると思うが、これから住宅を建てようとされる方のみならず、賃貸派でも内覧の際、快適さを判断する上で、役に立つ知識がコンパクトにまとめられた本であると感じた。

以上

エアコンのいらない家
山田 浩幸 著
2011/7/2 発行

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