Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

会社を変える分析の力

書はデータ分析をテーマとして書かれているが、分析手法について書かれているわけではない。データ分析のスキルをもって、ビジネス上の成果をあげるためには、
・分析手法以外にどのようなスキルが必要か?
・どのようなマインドを持って、データ分析に挑むべきか?
・分析のプロフェッショナルとして成長するための道筋は?
といったことが書かれている。これらのうち分析手法以外のスキルについて紹介する。

見つける力(問題発見能力)

見つける力とは一言でいえば、ビジネスにおいてデータ分析を活用するチャンスを見つけることだ。しかしどんなチャンスでも良いわけではない。データ分析で問題を解決できる可能性が低かったり、問題解決できてもビジネスに与える効果が小さければ、ビジネスを変革できない。

誰も気づかないようなビックチャンスを見つけたとき、それはビジネス上の大きな競争力になる可能性を秘めている。アマゾンは、ウェブ上での顧客の購買履歴をや閲覧履歴を蓄積し、それを分析すれば、顧客一人ひとりの趣味や嗜好を探り出し、それに合致すると思われる商品をレコメンデーションすることで、売上を伸ばせる可能性に気づいた。

建機メーカのコマツは、世界中の工事現場で稼働する建設機械のセンサーやGPSを取り付け、そのデータを収集して分析することで、機器のメンテナンスや販売、また、資金回収に役立てる可能性に気づいた。

解く力(いわゆる分析力)

英語で問題を解くというと、試験問題を解く(answer)と問題を解決する(solve)の2つがあるが、データ分析は、answerではなくsolveである。solveが必要な問題はあいまいにしか定義されておらず、自分で問題を解釈して定義し、自分で解く方法を考案し、自分がベストと考える解を導くプロセスである。

自分で解く方法を考案する際、現場の知識が必要である。分析結果から得られるのは相関関係だけで、因果関係まではわからない。ビジネスの最前線に立つ人の意見を聞くことにより、意味のある知見なのか?因果関係といえるだろうか?といったフィードバックが得ることにより、より役立つ分析を行うことができる。

また過不足なく解く力も必要である。分析者が陥りやすい罠が2つある。細かく解く罠と小さく解く罠である。細かく解く罠とは、精度にこだわるあまり分析モデルを細かく複雑にしすぎてしまうことである。複雑なモデルは理解が難しく、利用者が使いにくい。小さく解く罠とは、特定の状況に特化した分析モデルを構築してしまうことである。特定の状況がビジネス上のインパクトが小さい場合、分析結果自体のインパクトも小さい。

最後に分析ミスをしない力である。ビジネスのデータ分析では絶対に分析ミスをしない覚悟で臨まなければならない。分析ミスは間違った意思決定につながり、会社に多大な損害を与えるかもしれない。しかし人間の行動には絶対はない。それを補う「検算力」を身につければよい。

使わせる力

「使わせる」とは、データ分析で得られた解をビジネス上の意思決定に使わせることである。どれだけ有用な結果を得られたとしても、意思決定に使われないかぎり一銭にもならない。使わせるために3つの力が必要になる。

ひとつめは、意思決定に使えるか見極める力である。そのプロセスは「データ分析の結果がどれくらい外れそうか」を推し量るステップと、「意思決定は、その外れを許容できそうか」を判断するプロセスに分けられる。

ふたつめは、使い方を伝える力である。意思決定者は、どんなデータを使ったかや、どんな分析手法を使ったかには興味はない。それよりも、
(1)この分析結果を使うことでどれだけの効果を期待できるのか?
(2)この分析をビジネス上の意思決定に使えるようにするには、どれだけの費用がかかるのか?
(3)この分析結果を使うことで問題は生じないのか?
を知りたいのである。

みっつめは、半信半疑と面倒くささを解消する力である。有用なビジネスモデルを見つけても、現場の担当者が半信半疑では使ってもらえない。有効な方法は、EXCELなどで簡易なツールを作り、現場の担当者に試行してもらうことである。また現場の担当者に有効性を理解してもらっても、面倒くさいと感じればこれまた使ってもらえない。その場合、データ登録の自動化や結果の検索、閲覧を容易に行えるようシステム化することが有効になる。

おわりに

実務者向けに成果をあげるためのノウハウが詰まった本である。これから自社のデータ分析に関わる者およびビジネスとして他社のデータ分析に携わる者は、一読しておいて損はないだろう。

以上

会社を変える分析の力
河本 薫 著
2013/7/20 発行

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