Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

Apple Design 1997-2011

1997年にスティーブ・ジョブスがCEOに復帰してから2011年までのApple社の快進撃を支えるデザインについて、デザインに関する複数の有識者が考察するとともに、主要な製品を美しいカラー写真で振り返る図鑑である。本書の中で、コロンビア大学客員教授のハラルド・クリンケは「デザイン・コンセプトこそ極めて重要な戦略なのです。デザイン・コンセプトは芸術的側面と机上の要求との間に存在し、それは、視覚、組織、マーケティングという3分野における原則に由来する」と述べている。デザインについての考察からトピックを紹介する。

シンプルさの原則

Apple製品は、外見のシンプルさによって他社製品とは明確に異なっている。例えば、iPhoneには物理的なボタンは1つしかなく残りの部分はほとんどディスプレイである。プロダクト・デザインにみるこの簡素化の先例と言えるものが、1950年代にディーター・ラムスを中心に開発された、ドイツの企業Braunのデザインである。ラムスは「工業製品のデザインの粋とは、誠実で、バランス良く、シンプルで、主張しすぎず、配慮が行き届いていることだ」と述べている。19971年からApple製品のデザインの責任者であるジョナサン・アイブもラムスの格言と似たようなことを言っている。

部門間の調和の原則

1997年、スティーブ・ジョブスは、デザイナーであったジョナサン・アイブをインダストリアルデザイン担当のシニアバイスプレジデントに任命する。デザインを経営上の問題と位置づけたこの人事により、デザイン部門は開発部門が要求する製品の表面をデザインする従属的な立場ではなく、エンジニアや経営者たちと同等の立場で互いに協力しながら革新的なソリューションを模索していくことになった。

陳腐化の原則

製品の寿命を短くすれば買い替えまでの期間が短縮され、必然的に売り上げが伸びるのは、ビジネスマンにとっては常識である。Apple製品も例外ではなく、モバイル製品の場合、機能的にはバッテリーの寿命に設定されている。しかし、Appleが買い替え戦略で焦点を当てているのは、機能ではなく、デザイン、つまり美観的な陳腐化である。この戦略で最初に手をつけるのが外観上の特徴である。ガラス、プラスチック、あるいはクロムメッキ仕上げの金属でできた光沢のある表面は、高価で壊れやすい工芸品を思わせる。そして継続的にデザインを刷新していくことで、新モデルが新鮮に見え、相対的に旧モデルが野暮ったい魅力のないように見えてくる。

おわりに

本書では、肯定的な考察ばかりではなく、批判的な立場から検証している論述や、アルミニウムという素材にスポットを当てた章があるなど、多面的な考察がなされている。

以上

Apple Design 1997-2011
ザビーネ・シュルツ、イナ・グレーツ 編
2012/10/25 発売

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