Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

プロフェッショナルの未来(3)

「情報技術の発展により、プロフェッショナル(専門家)の知識を社会の中で利用可能にする仕組みが変化することで、様々な専門家の仕事が不要になる」というのが、本書の主張だ。本ブログでは、全7章のうち1章、2章について、3回にわたってポイントを紹介する。

  1. 現在の専門家の定義および専門家を専門家たらしめている力が何なのか?
  2. 現在の専門家という社会的システムは、どんな問題を抱えているのか?
  3. 人工知能(AI)やインターネットを基盤とした情報社会が、専門家の仕事をどう変えていくか、最新の事例

本記事は 3 である。2 の問題を解決すべく、テクノロジーが引き金となって、変わりつつある様々な専門家の姿について事例が豊富に紹介されている。

医師

人々は自分の健康に不調を感じると、医師の予約をとり、訪問して対面でやり取りを行ってきた。しかし、テクノロジーの進化は次のような変革をもたらしている。

  • 米国の「ウェブMD」のようなプラットホームは、病気の症状や治療法に関する幅広い情報を提供しており、毎月1億9000万人が訪問している。他にも医師を検索したり、アマゾンのように医師を評価可能なサイトがある。
  • コンピュータによる診断システムも登場している。IBMのワトソンは、がん検診の支援に活用され、治療プランのアドバイスを行う。医師は自分の専門分野の学術論文に目を通し、知識をブラッシュアップしていくが、平均41秒に1本発表される論文のすべてに目を通すのは不可能である。ワトソンは、すべての文献に目を通した上でアドバイスする。
  • 人々は自分の健康状態について計測する機器が登場している。フィットビット、マイ・フィットネス・パルといった装置だ。それらの機器を身につけ、脈拍数から食事や睡眠のパターン、はたまた幸福度まで分析することもできる。

教師

授業の形式は何世紀にも渡って変化していない。少数の生徒が物理的な同じ空間に集まり、カリキュラムに従って、教師がライブで講義する。当たり前のスタイルだが、生徒各個人の理解度はまちまちで、理解できた生徒が次に進んだりできない。一方、理解できなかった生徒は復習しなければならない。

ところで、教育に関する研究成果で、個別指導を受けた生徒は、従来の授業形式で学んだ生徒の98%よりも良い成績を残すという「2シグマ問題」というものがある。欧米では生徒個人の理解度に合わせた学習コンテンツを自動で提供するシステムが70以上ある。

経営コンサルタント

コンサルティングの進め方は、過去100年間ほとんど変わっていない。優秀な部外者や外部のスペシャリストから成るチームが、顧客の組織に一定期間派遣され、抱える問題に答えを出す。コンサルティング会社の差別化手段のひとつは、自社しかアクセスできない情報源の保有、つまり自社のリサーチライブラリーや調査部門を充実させることだった。

しかしインターネットに到来により、こうしたデータや情報の多くが自分で手に入るようになっている。今やルーチン作業となった調査作業の多くを賃金と運営費の安い地域にアウトソースしている。

コンサルティング会社の中には、新たに会得したデータ分析の専門知識をパッケージソフト化して、既成の商品として売り出しているところ(例:マッキンゼーやデロイト)もある。こうしたパッケージソフトが顧客の会社にインストールされると、コンピュータから様々な知見が生み出される。これらは従来のコンサルタントの仕事とは大きく異なっている。

おわりに

本書の第2章では、他にも、法律家、ジャーナリスト、宗教家、建築家、税理士といった専門職の仕事がどう変わりつつあるかも紹介されている。さらに、紹介されている事例を、水面のさざ波と捉え、水面下で本質的にどのようなことが起こっているか考察した上で、未来の専門家の姿について解説されている。

以上

プロフェッショナルの未来
リチャード・サスカインド、ダニエル・サスカインド 著
2017/9/30 初版発行

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