Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

アフターデジタル

「日本のビジネスパーソンは、デジタルが完全に浸透した世界をイメージできていない。(中略)こうした状況に危機感を抱いています。」

著者は、まえがきで本書の執筆理由をこう書いている。アフターデジタルとは、現状のオフラインを主軸としてオンラインを考えるのではなく、オンラインが中心でオフラインを付随的な物と考えることを意味する。そのような世界を、先進的な諸外国、とりわけ中国を中心に説明している。

エストニア、スウェーデン、中国の状況

世界で最も政府の電子化が進んでいるのが、エストニアである。外国人にも電子居住権が発行され、簡単に「電子国民」になれる。電子国民になると、エストニア国内での起業の手続きが簡単になったり、永久に使えるピザ発行を申請できる。さらに、国民のデータがオープン化され、所有する不動産、納税額、土地の登記などの情報が誰でも見ることができるのは驚きだ。オープン化するメリットは、詳しくは述べられていないが、例えば、強盗が起きたら、その時点で急に所持金が増えている人をすぐに調査できるので、犯罪防止につながるとのこと。

スウェーデンでは、キャッシュレス決済は当たり前で、QRコードすら過去の物になりつつある。今では人間の体内に埋め込んだマイクロチップで決済可能。電車の改札機には手の甲をかざして乗る、レストランやショップでの会計も手をかざすだけだ。

中国の都市部ではスマートフォンを保有者の98%が、モバイル決済を行なっており、財布を持ち歩かない人も多いとのこと。そして、オンライン上であらゆるもののオーダーから支払いが完結するシステムが整い、社会基盤として根付いている。

オフラインがなくなる世界

モバイル決済の普及により、今までデータとして取得できていなかった消費者のあらゆる行動が可視化されることになる。個人レベルでどの店で何を買ったか?電車やタクシーを使えば、どこから、どこまで移動したのか?を捉えて、マーケティングに活用する、行政機関が交通政策に活用する、AI(人工知能)に分析させて、信用スコアを算出するといったことが可能になる。

このような社会が到来すると、ビジネスパーソンへのメッセージとして、企業の競争原理が、データをフル活用し、プロダクトとUX(顧客体験)をいかに高速で改善できるかになっていくと述べている。

おわりに

本書では、具体的な事例として、ECから逆にリアル店舗を持ちはじめたアリババグループや日本では馴染みのない中国企業、例えば、保険を起点として健康をサポートする「中国平安保険」、タクシーの配車を行う「ディディ」、Uberイーツのような配達を行う「ウーラマ」、自動車の免許取得、購買、売却といったカーライフサイクルをサポートする「ビットオート」といった企業について、トップにヒアリングしたり、経営戦略を考察した上で、日本企業がどう対応していくべきか、処方箋も提示されている。

以上

アフターデジタル
藤井 保文、尾原 和啓 著
2019/3/23 初版発行

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