Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

働き方2.0vs4.0

働き方2.0とは、成果主義に基づいたグローバルスタンダードな働き方、3.0はプロジェクト単位でスペシャリストが離合集散するシリコンバレー型、4.0は、会社に所属しないフリーエージェントが集まって仕事を進める働き方(ギグエコノミー)を意味する。日本は2.0を目指しているが、世界は、3.0から4.0に向けて変わりつつあるというのが本書の主張だ。

働き方3.0から4.0へ

映像配信会社のネットフリックスの人事方針を説明した「カルチャーデック」という資料があり、

  • すべてのポストに最も優秀な人材をあてる
  • 業界最高水準の報酬を支払う
  • 優れた人材の採用と解雇はマネージャーの責任である
  • 将来の業務に適さない人にはお金を払って辞めてもらう

などがうたわれている。まるでプロスポーツの世界だ。またグーグルも

  • 採用にあたっては自分より優秀な人だけを雇う
  • 評価を公正にするため、複数の評価者(複数の管理職、同僚)で評価する。ごますりの効果が少なくなり、トップの人材には、それにふさわしい処遇を与える

などだ。しかし、シリコンバレーを中心に、アメリカでは急速に組織に所属しない働き方が広がっており、1億人近い人々が会社に所属せず働いている。テクノロジーの進化により、専門職を短期で雇いたい会社と、独立して短期の仕事をしたいスペシャリストをマッチングさせるプラットフォームが提供されているためだ。

日本は前近代的な身分制社会

ひるがえって日本に目を向けると、働き方改革は道半ばで、一方でそれを阻む身分制社会だ。その一つが戸籍制度で、ほとんどの外国には無い。近代的な社会は自立した市民によって構成されるはずだが、日本では戸籍=イエ単位での構成となっている。その弊害の一つは、年金や健康保険がイエ単位で、サラリーマンの妻は、働かなくても年金と健康保険が保証されている点だ。結果、サラリーマンの妻の社会進出を妨げ、一方で夫は既得権益を失わないように、会社を辞められないという硬直した社会になる。かつては日本と同じく、世帯単位で社会保証を行なっていたスウェーデンは個人単位に切り替えることで、女性の就業率を引き上げている。

正社員、非正規社員というのも身分制度だ。これにより「同一賃金同一労働」が無視されることになっている。給料の格差、解雇の容易さ、手当の有無、設備利用の可否など、あらゆる面で非正規は差別されており、他の先進国では考えられない。ブラック企業のビジネスモデルは「正社員」という人参をぶら下げて、社員を酷使して使い捨てにするものだ。

親会社と子会社、本社採用と海外の現地採用の待遇格差も典型的な身分制度だ。親会社から出向してきた社員と子会社のプロパー社員では、同じ仕事をしているにも関わらず、給料に差があることは、日本では当たり前だが、海外の会社ではありえない。

定年制による社員と再雇用の社員も身分制度だ。非正規社員同様「同一賃金同一労働」が無視される。根本には定年制「社員の能力や意欲を無視して一定の年齢に達すると強制解雇」という年齢による差別がある。アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどの英語圏のほか、スペインも定年制を廃止している。

おわりに

本書では、フリーエージェントが活躍する一方で、管理職がなくなるのか?バックオフィス業務がなくなるのか?という考察をしたり、グローバルスタンダードには程遠い日本では、どのようにして生きていくべきか処方箋も示されている。

以上


働き方2.0vs4.0
橘 玲 著
2019/3/21 初版発行

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