Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

フォグ・ハイダ

森博嗣のヴォイド・シェイパシリーズの4巻である。フォグ・ハイダとは霧に紛れるものという意味だろうか。今回は印象的なゼンの思索と、そのあとの戦いとのつながりをまとめてみる。

ゼンの思索

霧の中での決戦を前に、敵手を待つ寒空の中でゼンは潔さについて思いを巡らす。

人はじっと待つことができない。それはまるで、息を止めることにも似て、苦しく感じられるものだ。痺れを切らし、つい動こうとしてしまう。戦いというのは、そうして始まるのではないか。潔いという言葉の意味が、きっとそんなところにあるのだ、と思えた。潔いことは、苦しくなく、やはり良いことなのだ。(中略)これは短気というよりも、動物に備わった揺らぐ心の本性ではないか。

キクラ vs ヒメジ

わずかに間を遅らせる技を持つというヒメジ。キクラと相対して、ほとんど動かず、ただじっと待つ剣。先に仕掛けるのが有利だが、仕掛ける時を見切られれば、立場は逆転する。動くものは、動きを止めにくいが、待っている方は敵に合わせられる。そして、年齢がヒメジよりも上であり、さらに8人ほど斬り、体力を消耗しているキクラが仕掛けるが、ヒメジはキクラの刀を紙一重でやり過ごし、遅れて間を詰め、そこへ刀を走らせる。キクラは敗れた。

ゼン vs ヒメジ

キクラの仇撃ちで、ヒメジに挑むゼン。今度は、お互い動かず相対する。ゼンはヒメジの剣を見ているが、ヒメジはゼンの剣を見ていない分、ゼンが有利だが、力量は都で3本の指に入るというヒメジの方が上のようだ。そうして音も無く、お互いが同時に突っ込む。掠るようにお互いの刃がすれ違うが、ヒメジは手首をわずかに捻り、刃の角度を変える。ゼンも同じように手首を捻るが、ヒメジよりもさらに遅れて刃を走らせる。ゼンは脇を切られるが、ヒメジには致命傷を与えて、勝利する。

おわりに

プロ野球の打者は、投手から放たれたボールをどこまで手元に引きつけてバットを振れるかどうかが、打撃成績に関わるらしいという話を思い出した。仕事にはスピードを求められる時代だが、待つことが有利になる場合がある。次はいよいよ最終巻だ。都に向かうゼンはどうなるのか、ノギのゼンへの片思いの行方はどうなるのか、楽しみだ。

以上


フォグ・ハイダ
森 博嗣 著
2014/4/25 初版発行

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