Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

文在寅という災厄

元韓国の特命全権大使であった著者が現在の韓国を批判する本だ。以前、主に経済学の観点から韓国を評した本「韓国ウソの代償」を紹介した。今回は、外交官の観点での今の韓国をどう捉えているのか、知りたくなり、本書を読んでみた。

親北政権

文在寅大統領は、北朝鮮と韓国の統合を目標としているようだ。そのため、北朝鮮のために骨折りを惜しまない。韓国国内向けには民族融和を目指し「平和」ムードで人気をとっている。世界に向けては、北朝鮮への制裁緩和を訴えている。米朝の交渉では、「仲介役」として、振舞っている。一方で、北朝鮮への瀬どり(=物資の海上での横流し)を容認している(=厳しく取り締まらない)。だが惜しむらくは、外交的には空回りしていることが多いことだ。

諸外国に相手にされない文在寅

2019年2月のハノイでの米朝首脳会談が合意なしの不首尾に終わり、韓国は米朝双方から「仲介役」ではない扱いとなっている。仲介役を諦められない韓国は、2019年4月11日に、文在寅大統領は、訪米した上で米のトランプ大統領と会見したが、対北朝鮮強硬派の幹部抜きの直接会見は2分だけで、しかも夫人同席で、実質的な話はなかったものと推測される。トランプと記者団の懇談は、合計で27分だったが、ゴルフの話など他愛のないもので「文在寅とは話し会うことはない」という意思表示である。また、2019年6月30日にG20の大阪サミット後に訪韓したトランプは、その後、板門店まで足を運び、金正恩委員長と面会したが、文在寅は同席を拒まれている。

2018年10月、文在寅は、欧州を歴訪し、EUの首脳と会って、北朝鮮への制裁緩和を訴えた。しかし同調する首脳はいない。中でもフランスのマクロン大統領との会談後の共同声明では、北朝鮮の非核化は、米国以上に強硬なCVID(Complete, Verifiable and Irreversible Denuclearization:完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)であるべきという内容を盛り込まれてしまい、文在寅の無能力ぶりが露呈している。

世界はすでに韓国を「北朝鮮の代弁者」としてみているだけでなく、彼らは国際社会が協力して遂行している国連制裁を破っているのではと疑っている。2019年1月、南北が開場に設置した連絡事務所に搬入された石油製品について、国連安保理の北朝鮮制裁委員会は「制裁違反である」と指摘している。同3月には、米国財務省も、北朝鮮との違法な海外取引に関わっている疑われるリストに韓国船を含めた。

中国は韓国を属国扱いである。中国は韓国にミサイル防衛システムであるTHAAD(Terminal High Altitude Area Defense missile)の撤去を求めているが、撤去となると韓国側は米韓同盟から逸脱するため配備・運用はしている。中国は報復措置として、間接的に韓国企業の活動や旅行を制限する「限韓令」を発している。また、2017年12月に文在寅が中国を訪れた際、3泊4日の全10回の食事のうち、中国要人と席を共にしたのはたった2回で8回は放置された。

おわりに

文在寅政権の外交に関わる部分を中心にまとめたが、本書は、韓国国内の政権運営についても考察されている。特に行政だけでなく、司法やマスコミにも影響度を増しており、独裁政権として地歩を固めつつあることや、経済政策の失敗についても言及され、文在寅が韓国にとっても災厄であると述べている。

以上


文在寅という災厄
武藤 正敏 著
2019/7/23 初版発行

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