Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

日本人が知るべき東アジアの地政学(3)

日韓関係の悪化の背景を知りたくて読んだ本だが、日韓関係だけでなく、ロシア、中国といった東アジアに領土を持つ諸外国も含めた外交を読み解くうえで、重要な考え方であり、4回に渡って要点をまとめたみた。第3回は、中国の動静だ。※地図の拡大はこちら

ランドパワーからシーパワー志向へ

中国は二千年にわたり東アジア最大のランドパワー帝国として君臨し、朝鮮を始め東南アジア諸国を臣下としてきた。しかし、ソ連の崩壊で北方の脅威が減少し、米国に次ぐ世界第2位の経済大国となったことから、シーパワー大国を目指すようになった。ただし、中国海軍は西太平洋で圧倒的なパワーを保つ米軍や日本の海上自衛隊のはるか後塵を拝し、また米国の同盟国に海へのアクセスが阻まれていることに不満を持っている。

過去のシーパワー化

中国のシーパワー化は、今回がはじめてではない。明の永楽帝は、側近の鄭和(ていわ)を艦隊司令官として「南海遠征」を命じた。「南海」とは南シナ海からインド洋までを意味する。また「遠征」というと、ペリーが日本に対して行ったような「砲艦外交」を思い浮かべるかもしれないが、実際は、商船隊であり、陶磁器や絹織物を満載して、各国を周り、明の皇帝に朝貢するよう促していた。

朝貢すると、その何倍もの返礼品が下賜され、中華帝国の威光が高まるというものだが、基本的にはバラマキのため、財政が悪化する。手を広げすぎた明は、財政難となり、永楽帝が亡くなると南海遠征は中止、三年一度だった朝貢が五年に一度、十年に一度となり、公的な貿易が縮小する。またモンゴル民族の侵攻や、日本の豊臣秀吉の朝鮮侵攻への援軍など軍事費がかさみ、増税した結果、ついには農民の反乱を機に、最後には、別の北方民族「女真」の侵攻を招き、明は滅亡した。

一帯一路、AIIB

習近平は「中華民族の偉大な復興」という「政治の論理」を「経済の論理」に優先して進めている。国内では、リターンの見込みのない開発を行い、ゴーストタウンを建設している。一方で、対外的には「一帯一路」を標榜し、リターンの見込みのない途上国の開発計画に、湯水のようにチャイナマネーを注ぎ込んでいる。

その資金源として北京にオープンしたAIIB銀行(アジアインフラ投資銀行)は、日本が主導するアジア開発銀行の審査を通らないような危ない物件に投資し、融資の焦げつきが多発している。「一帯一路」計画がうまくいかない本質的な理由は、中華帝国の威光を増すために行われた朝貢外交と同じように「偉大な中華民族」という習近平政権の「上から目線」にあるのではないかと論じている。

第4回に続く。

以上


日本人が知るべき東アジアの地政学
茂木 誠 著
2019/6/25 初版発行

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