Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

クライシス・キャラバン

クライシス・キャラバン。危機を追って移動する一団という意味で、紛争地域における人道援助を行うNGOを皮肉った言葉だ。人道援助により、医療や食料が提供され、確かに命を救っている一方で、紛争の当事者が上前をはねることにより、紛争が長引いたり、ひいては、わざとNGOを呼び寄せるような行動に紛争の当事者が出ていると指摘している。事例のひとつとしてルワンダが紹介されている。

ルワンダでのジェノサイド

1994年、ルワンダでは、フツ族によるツチ族の虐殺が始まり、3ヶ月で80万人が殺害されたとされている。メディアからは、大勢の人がルワンダを脱出する映像が流れ、それを見た人は、ツチ族の人がフツ族から逃げているというふうに思い込んだ。しかし、実際はツチ族の報復を恐れたフツ族がルワンダから逃れていたのだ。そしてその難民の中には虐殺を起こした当事者であるフツ族の兵士や民兵も含まれている。

戦争を助長する難民キャンプ

ルワンダを逃れたフツ族は、近隣諸国の難民キャンプに逃れた。そこでは多くのNGOの援助により、病気のものに治療が施され、食料が与えられた。もちろん人道援助は、人を選ばないため、兵士も治療され、体力を回復させた後、ルワンダの内戦に出撃することになる。またキャンプ内では、暴力で支配され、援助物資の60%が民兵たちに略奪されたという試算もある。警備員を置いたNGOは、一夜で10名以上の警備員が皆殺しにされたところもある。

援助される側が支配する難民キャンプ

隣国のコンゴとの国境近くのゴマという難民キャンプに、フツ族は暫定政権を設立し、キャンプの統治を初めてしまう。そして援助機関によって配られる食料配給のすべてに、軍隊に支払う「戦争税」を課した。キャンプに基盤を置くラジオ局は「ゴキブリ(フツ族の過激派はツチ族のことをゴキブリ扱いする)を叩きつぶすことは殺人ではない。衛生手段なのだ」と扇動し、キャンプで新たな兵士を募っていた。

おわりに

人道援助は、中立性、公平性にもとづき行われるというのが赤十字原則でうたわれている。しかし、本書では、それだけではなく、負の側面にも目を向け、効果を見極める必要があるというのが本書の主張だ。しかし、NGO自体は、小規模な組織も多く、資金を供給する先進諸国に対しては悪い報告を行いにくいという事情もあり、援助機関を監督する国際的な機関の必要性もにおわしている。

以上

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クライシス・キャラバン
リンダ・ポルマン 著、大平 剛 訳
2012/12/13 初版発行

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