Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. It is harder to crack a prejudice than an atom.

プレゼンテーション・パターン

プレゼンの秘訣をまとめたノウハウ本のように見えるが従来のノウハウ本と思って読むと面を食らう。たしかにプレゼンのノウハウを34個にコンパクトにまとめているのだが、具体例の紹介が極端に少なく、実際にどうすれば良いかイメージがわきにくい。そして、その理由は本書を読み進めると示される。以下に本書で掲示されているプレゼンの核となる考え方を紹介する。

創造的プレゼンテーション

まず示されるのは、本書が目指すプレゼンの形だ。情報の伝達だけを目的にせず、聴講者の想像力を刺激しあらたな発想を得たり、協力してもらったりといった行動を起こしてもらうことを目的にするということだ。そのために「メイン・メッセージ」「心に響くプレゼント」「成功のイメージ」という他のパターンが重要となる。

メイン・メッセージ

聴衆に創造性を発揮してもらうためには、ある種の制約やきっかけが必要だ。ところが得てしてプレゼンには内容を盛り込みすぎて何が言いたいのか焦点がぼやけることが多い。相手に伝えたいメイン・メッセージをひとつに絞ることが重要だ。

心に響くプレゼント

メイン・メッセージが決まったら、どのように聴衆に伝えるか考える必要がある。しかしこのとき漠然とした聴衆を想定しても具体的な伝え方は浮かばない。プレゼンテーションの聞き手として特定の誰かを思い浮かべることで、具体的な伝え方も浮かび上がってくる。そう誰かへのプレゼントを考えるように。

成功のイメージ

創造的プレゼンテーションでは、プレゼンを通じて相手にどのようになってほしいかを考えることになる。けれどもプレゼンの作成段階では、何を伝えるかに気がいきがちである。プレゼンを通じて相手が創造的になるとは、「自分にもできる」、「世界の見え方が変わった」、「語り手の生き方に刺激を受け新しい生き方を見いだす」といったことがある。このような成功のイメージを常に忘れずにプレゼンの作成に取り組むことが重要だ。

おわりに

今回紹介したのは、どのようなプレゼンを作成するかというコンセプトに近いところだが、もう少しノウハウに近い「ストーリーテリング」「参加の場つくり」「即興デザイン」といったものが「内容・表現」「魅せ方」「振る舞い」に分類されて紹介されている。そして具体例としては主にTEDのプレゼンが紹介されている。

ところで本書の特徴は、本書自体も想像を誘発するしかけがある点だ。その秘密は、パターン・ランゲージという方法を忠実に採用していることにある。パターン・ランゲージは建築の分野で発明された設計において頻繁に発生する問題の発見・解決の法則に関する記述方法で、ソフトウェアの分野で普及している。パターン・ランゲージでは解決のヒントを示すだけで、実際はお手本を見たり、実践を通して自分なりの解決方法を身につけていることを目的としている。本書を片手にTEDのプレゼンテーションを見てみようと思う。

以上

プレゼンテーション・パターン 想像を誘発する表現のヒント
井庭 崇、井庭研究室 著
2013/02/10 初版発行

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